従順ならざる唯一の日本人

 はじめて彼に逢ったのは、10数年前の新聞(日曜版)だった。
 ロマンスグレーで端整な顔立ち、横を向いて写っていた彼は、真っ白なTシャツを着てジーンズをはき、椅子に腰掛け足を組んでいた。タイトルは『日本で初めてジーンズをはいた男』。彼の名は、白洲(しらす)次郎。その新聞では、写真を模したイラストだったように記憶しているが、私は、ひと目見て惹きつけられた。その後、『風の男 白洲次郎』(青柳恵介著・新潮社)の表紙の写真を見てさらに虜(とりこ)になり、いくつかの本を読んだ。「吉田茂の懐刀」と言われ、終戦直後のGHQに「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめたことも知り、ますますファンになる。 雑誌「サライ」(2004年9号)でも特集され、素敵なその写真が表紙になった。

 明治35年生まれ、ベントレーに乗り、シングルモルトを好み、晩年、有名デザイナーのファッションショーのモデルもつとめた、長身(185cm!)の彼が住んでいた「武相荘」に、昨日、(同じく彼のファンである)近江の友と行ってきた。
19歳でイギリス留学をした神戸の裕福なご子息(次郎氏)と、伯爵ご令嬢(正子氏)ご夫妻の旧邸、もし同じ時代に生きていたらお伺いすることも叶わなかっただろうが、少し時がずれたおかげで訪問することができ、ほんの少しおそばに近づけた氣がした。(^-^)








 今日になってやっと晴れた。朝のうち少し風が冷たいけど、良いお天氣。(^-^)